ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品の特許や再審査期間が終わったあとに、同じ有効成分を使って製造・販売される医薬品です。先発品と同じ効能・効果と用法・用量をもちながら、開発費が抑えられるぶん価格が安くなります。このページでは、厚生労働省・PMDA・FDAなどの公開資料をもとに、定義、同等性の確認方法、安い理由、国内の後発品と海外ジェネリックの違いを整理します。

ジェネリック医薬品の定義

厚生労働省とPMDAは、後発医薬品を次のように説明しています。新薬(先発医薬品)の再審査期間が終わったあとに、同一の有効成分を同一の量だけ含み、同一の投与経路で使われる医薬品です。効能・効果と用法・用量も、原則として先発品と同じです。生物学的同等性試験などを行い、先発品と治療学的に同等であることが確認されています。

先発医薬品との違い

同じ点

有効成分の種類と量、剤形、投与経路、効能・効果、用法・用量が同じです。

異なってよい点

添加剤は、先発品と異なっていてもよいとされています。ただし、薬理作用をもつものや、治療効果を妨げるものは使えません。使用前例のある安全な添加剤に限られます。FDA(米国食品医薬品局)も、色などの外観が先発品と異なることを認めています。

まれに、添加剤の違いによって、耐容性や吸収の状態が変わる患者がいることも、FDAは説明しています。気になる症状がある場合は、医師や薬剤師に相談してください。

同等性はどのように確認されるのか

生物学的同等性試験

後発医薬品は、承認申請の際に生物学的同等性試験を行います。先発品と後発品を服用したときの血中濃度の推移を比べる試験です。

日本のガイドライン(令和2年3月19日付の改正)では、血中濃度の指標であるAUCとCmaxについて、後発品と先発品の比の90%信頼区間が、0.80〜1.25の範囲に入ることを基準としています。FDAの最終ガイダンス(2026年5月)も、幾何平均比の90%信頼区間が80〜125%に入ることを基準としています。

基準の読み方

この80〜125%は、有効成分の含有量が80〜125%の範囲でばらつくという意味ではありません。血中濃度の測定値を統計的に比べたときの、同等とみなす範囲です。有効成分の量そのものは、先発品と同一です。

ジェネリック医薬品が安い理由

開発にかかる費用と期間が小さい

有効成分の有効性と安全性は、先発品の開発で確認されています。そのため、後発医薬品では、毒性試験や臨床試験を繰り返す必要がありません。日本の承認申請では、通常、規格・試験方法、安定性、生物学的同等性の3種類の試験が求められます。FDAも、動物試験と臨床試験を繰り返さないと説明しています。

厚生労働省のQ&A(2012年7月)では、新薬の開発に約9〜17年、300億円以上かかるのに対し、後発医薬品は約3〜5年、約1億円とされています。数値は当時のものです。

薬価のルール

国内で保険診療に使われる医薬品には、公定価格(薬価)が定められています。令和8年2月13日付の通知では、新規に収載される後発医薬品の薬価は、先発医薬品の5割(0.5掛け)です。内用薬で、同一規格の後発品が7品目を超える場合は、4割(0.4掛け)になります。

国の使用促進策

厚生労働省は、後発医薬品の使用を促進しています。目標は、2029年度末までに、すべての都道府県で数量シェアを80%以上にすることです。令和7年9月の薬価調査では、数量シェアは88.8%、金額シェアは68.7%でした。数量シェアは、後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品を合わせた数量のうち、後発医薬品が占める割合です。

品質を確保するしくみ

国内の後発医薬品は、製造所ごとに、製造管理・品質管理の基準(GMP)を守る義務があります。市販後も、溶出試験などの品質検査が行われています。国は、1998年度から、すでに販売されている医薬品の品質再評価にも取り組んでいます。

一方で、厚生労働省は、後発医薬品産業の品質確保や安定供給に課題があることも認めています。2024年には、対策のロードマップを改訂しました。

国内の後発医薬品と海外のジェネリックの違い

ここまでの説明は、日本の承認を受けた後発医薬品が対象です。海外で流通するジェネリック医薬品は、日本の承認審査を受けていません。厚生労働省は、国によっては、医薬品の品質などについて、日本と同じレベルの確認が行われていないと説明しています。品質などが確認されていない医薬品には、期待した効果が得られなかったり、人体に有害な物質が含まれていたりする場合があります。

WHO(世界保健機関)は、低・中所得国で流通する医薬品の少なくとも10品に1品が、品質基準を満たさない製品か偽造品であると推計しています。個人輸入した医薬品で健康被害が生じた場合は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。個人輸入の仕組みは個人輸入とは、偽造品への備えは粗悪品・偽物の見分け方で解説しています。

よくある質問

Q. ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ効果がありますか?

A. 国内の後発医薬品は、承認審査で、生物学的同等性試験などにより、先発品と治療学的に同等であることが確認されています。ただし、効き方や副作用の出方には個人差があります。気になる症状がある場合は、医師や薬剤師に相談してください。

Q. なぜジェネリック医薬品は安いのですか?

A. 有効成分の有効性と安全性が先発品で確認されており、毒性試験や臨床試験を繰り返す必要がないためです。開発にかかる費用と期間が小さくなるため、価格を抑えられます。

Q. 先発品と見た目が違うのはなぜですか?

A. 有効成分は同じですが、添加剤や色、形が異なっていてもよいとされているためです。

Q. 海外のジェネリックは、日本のジェネリックと同じですか?

A. 同じではありません。日本の後発医薬品は、国内の承認審査を受けています。海外で流通するジェネリックは、日本の承認を受けておらず、品質などを日本と同じ水準で確認されているとは限りません。

Q. 個人輸入したジェネリックで副作用が出た場合、救済制度は使えますか?

A. 使えません。厚生労働省は、個人輸入した医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象にならないと説明しています。

参考文献